えむ式

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中秋の名月が満月とはかぎらないのはなぜ?

今日は旧暦の8月15日、中秋の名月です。私の住む地方でも美しい月をみることができ、ススキやお団子、果物などをお供えしました。満月だからお月見をするのだと当然のように思い込みがちですが、実は中秋の名月イコール満月ではないのです。今年2016年の満月は明後日9月17日です。

 満月は、真上から見た時に地球を真ん中にして太陽と月と一直線になった時見られます。新月は、やはり真上から見た時に月を真ん中にして太陽と地球と一直線になった時です。(宇宙空間で真上ってどこ?という疑問もありますが、言いたいことはわかっていただけるかと…)

 

新月から新月までは約29.5日、そしてその中間の約14.8日目が満月となります。新月、満月と言えるのは正確には太陽・地球・月が一直線に並んだその瞬間です。でも新月・満月はその瞬間を含む1日のことを言います。なのでそこに少しずつのズレが生じますし、月の軌道が楕円であることなどからのズレもあり、満月は新月から16日目になったり17日目になったりすることがあるのです。

 

なのになぜ旧暦8月15日が中秋の名月と呼ばれるのでしょうか?

 

旧暦では7月・8月・9月が秋にあたります。そのど真ん中の8月15日なので「中秋」なのですね。月がちょうど鑑賞しやすい高さに見えるのが春と秋です。春は「春霞」という言葉もある通り空がぼんやりしていることが多いのですが、秋は「秋晴れ」と言われるように空気が澄んで月も良く見えます。そんなことから秋のちょうど中日に月を愛でるということで、「中秋の名月」という風習が生まれたのです。

 

ところで、「仲秋の名月」という表記を目にすることもありますが、「中秋」と「仲秋」どちらが正しいのでしょうか。

 

旧暦の秋にあたる7月・8月・9月ですが、7月は「初秋」、8月は「仲秋」、9月は「晩秋」とも呼ばれます。なので、「仲秋の名月」は8月15日の名月ではなくて、8月中の名月ということになります。

 

中秋の名月は別名「芋名月(いもめいげつ」とも言われますが、これはこの時期収穫期を迎える里芋をお供えすることからです。また、旧暦9月13日は、「栗名月(くりめいげつ)」とか「豆名月(まめめいげつ)」と呼ばれる「十三夜(じゅうさんや)」です。こちらは栗や枝豆の時期だからでしょうが、なぜ9月15日じゃなくて、13日なんでしょうね。これには様々な俗説があるのですが、はっきりとした理由はわかっていないようです。14日の月を「待宵の月(まつよいのつき)」、16日の月を「十六夜の月(いざよいのつき)」と、満ち足りた満月だけではなく、ちょっと満たされない部分もある月の風情をそれぞれに楽しむ日本人ならではの何か意味がありそうですね。